櫻桃庵はわが弊屋のことです。小さな庭に植えた苗木がいつの間にか大きくなりました。俳句や本や映画や友達のことなんかをぽつぽつ書く日記です。 2007年から2010年までmixiに引っ越していたため更新できておりませんでしたが、此方も少しずつ書いていきます。

2010年8月14日土曜日

映画 「ウディ・アレンの夢と犯罪」 原題:CASSANDRA'S DREAM

『マッチポイント』『タロットカード殺人事件』に続くロンドン3部作の最終章として制作した作品・・らしい。この二作は観ていない。

この邦題はいったいだれがつけたのものか、ドイヒーな題だなあ。
学生の頃から「ウディ・アレンの」と頭につけるのが普通なのかなと思っていたが今回はネタバレすぎるしセンスがないとおもう。
敢えて原題 CASSANDRA'S DREAM を付け加えたが、直訳の「カサンドラの夢」でいいじゃんと思ってしまうのはおいらだけか?

カサンドラというのは劇中では写真の中古ヨットの名前。また買うに到った軍資金を稼がせてくれたドッグレースの犬の名前だ。西洋人にはギリシャ神話の王女の名前としても知られていてウディアレンのことだからそこんとこの隠喩もこめたんだろう。

お話はイギリスの労働者階級の兄弟の話。(以下ネタバレ御免)
それぞれに大小の夢を抱き蹉跌もあり金がほしい、そこにいつも頼りにしている成功者の叔父が帰ってきて資金提供と引き換えにあることを依頼する。
その依頼とは、商売敵の殺人。(ここで少し引いた。
だいたい経験もねえひ弱な甥っ子にそんな大事なコロシをたのむか!)
あとはその実行のプロセスの兄弟の葛藤、実行後の兄弟の罪の意識の差、それによる悲劇の結末・・・・・・という具合に話が進む。

いわゆるギリシャ悲劇的、ロシア文学的悲劇の類型を見せてくれているのだと気付いたが、ちょっとこれは類型的過ぎるんぢゃあねえか。類型がわるいとは言わないがそれを映像美とか演技力とかで補ってなんぼとおもう。今回はあまり褒めるところがない。
あまりに素っ気無いラストの刑事の台詞がいいと思うが、それも意図がわかりすぎる。
終ってみると全体にウティアレンの上から目線が見えてしまう。

ちょっと酷評過ぎるかもしれないが逆にあとの二作を見たくなった。
あとお兄さんのほうがイカレテ殺人を犯すにいたった女優役のヘイリー・アトウェルちゃん。芝居ははベタだけど確かにイカレてしまいたくてよかった。

★★☆☆☆