櫻桃庵はわが弊屋のことです。小さな庭に植えた苗木がいつの間にか大きくなりました。俳句や本や映画や友達のことなんかをぽつぽつ書く日記です。 2007年から2010年までmixiに引っ越していたため更新できておりませんでしたが、此方も少しずつ書いていきます。

2010年8月29日日曜日

映画 「9 ナイン」

原案/監督:シェーン・アッカー

プロデューサー:ティム・バートン
製作 : ティムール・ベクマンベトフ
音楽:ダニー・エルフマン
脚本:シェーン・アッカー&パメラ・ペトラー

ギンレイのもう一本。「第9地区」との二本立てを無名つながりといったが、プロデュースはティムバートンで無名なのは監督。監督のシェーン・アッカーが卒業制作でつくった11分間の短編映画を見たティムバートンがぶっ飛んで「これまでの人生で見た映像の中で、最高の11分間だった。」とのたまい、すぐさま抜擢して長編化したらしい。
11月に発売されるDVDにはその短編オリジナル版が入っているらしいので観てみたいものだ。
 
ティムバートンの味付けもあり、つくりはいわゆるダークファンタジーになっている。画面はどこも汚くないし、ぐろくないけど西洋独特の暗さがあってその味が良い。
 
話としては、人類に対して機械が氾濫を起こして人が絶滅した世界というよくあるSF設定だが、ある研究室で9体の人形が作られ命を込められていたという設定がおもしろい。人形だから、機械でも無く、外装は麻袋。主人公の「9」にはチャックがついているが中にはなんのカラクリもなさそう。
 
最後に目覚めた「9」がほかの人形達と一緒に「マシン」と戦い新しい世界を切り開いてゆく・・・ってえ話もなんだか八犬伝やサイボーグ009みたいで、コノ位メンバーが丁度良いAKB48みたいだと収集がつかない。
夫々のキャラ設定も立っていてマッチョ系、保守派因業老人、男前女剣士など活劇テイストを発揮するための成分の分担が適切である。戦いで一体ずつ仲間の犠牲になっていくくだりは薬師丸ひろ子主演のの「新八犬伝」とほんとに良く似ている。その魂がラストで昇天する場面は多分に臭くこっぱずかしいが、この手の大団円には欠かせない要素なのだからしかたない。
 
新しい才能を見つけて大人が寄ってたかって定番の売れる素を投入し「売れる映画」にしたのだろうがその分映像美も音楽もバランスよくて完成度はかなり高いとおもう。
 
★★★☆☆
 
 


 

映画 「第9地区」

原題:DISTRICT 9
2009/アメリカ 上映時間111分
監督・脚本:ニール・ブロンカンプ
製作:ピーター・ジャクソン
出演:シャールト・コプリー、デヴィッド・ジェームズ

今ギンレイホールに掛かっている。「9(ナイン)」と9つながりで、無名つながりでCGつながりなんだろうな。ギンレイホールの二本立てのセンスはとっぴ過ぎなくて結構受け入れられる。

二十年前に地球に漂着した宇宙船に海老たいなエイリアンが百万匹位いた。そのエイリアンたちを受け入れて「第9地区」というところに隔離政策を取ったがスラム化し犯罪を犯すようになってきたため第10地区に移転させようということになる。その責任者をとおしてドキュメンタリータッチで変な映画に仕立てている。
設定がカナリ突っ込みどころ満載で宇宙船はなぜ二十年も浮いたままなのか、なぜ誰も操縦できないのか(DVD版ではそれを試すシーンがあるらしいが・・)凄い武器を持っていないのになぜ人間を襲わないのか・・・? 
そこらへんのところはドキュメンタリータッチでサッパリと表現しているためにまあありかなあと思う。
寧ろメンインブラックでもエイリアンが地球で暮らしていたし、目新しさは感じられなかった。

設定が南アフリカのヨハネスブルクということで、ちょっとアパルトヘイト政策とかぶり、海老星ニアリーイコール黒人ってことかよと思わせる。そこの所に囚われるともう一つの鑑賞の仕方がありそれはそれで楽しめるかもしれないがとりあえず「設定」ということにする。

単純に笑えるところはエイリアンたちのキャラクター設定。かなりスラムのオッサンとしてたのしめる。猫缶が超人気食材なのにタイヤも食っちゃうし、立ち退きのサインを渋ったりするところは親戚のおじさんの仕草と似ていて困った。

主人公のヴィカスの平凡な生活があることでエイリアンに変態していく過程での人間達の反応が面白い。一番面白いのは表面的な受け答えをしていたヴィカスがどんどん人間くさくなっていくことだ。ラストシーンが切ない。

ちょっと文句をいうとすると逃げるヴィカスと追手の戦闘シーンが長い。あんたらのCGはもう堪能しましたから勘弁してください、という感じに到るには人それぞれの長短があると思うが私は短めのようだ。

★★★★☆