櫻桃庵はわが弊屋のことです。小さな庭に植えた苗木がいつの間にか大きくなりました。俳句や本や映画や友達のことなんかをぽつぽつ書く日記です。 2007年から2010年までmixiに引っ越していたため更新できておりませんでしたが、此方も少しずつ書いていきます。

2007年3月31日土曜日

映画「麦の穂を揺らす風」

ギンレイで「麦の穂を揺らす風」を」を観ました。主演キリアン・マーフィー 監督ケン・ローチ 2006年カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作品です。
医師への夢を捨てアイルランド独立運動に身を投じ、殺戮と粛清を繰り返し、一応の独立を手にした後は内戦で骨肉の争い・・・という最近観た中では重くて救いの無い映画です。
アイルランドの、緑に溢れていながらどこか寂寥感のある風景に麦を揺らす風が本当に「辛い」です。
キリアンマーフィーは「プルートで朝食を」の綺麗なゲイ役のイメージがありましたが、シリアスな役を好演しています。28日後の主演で世に出たらしいですがまだ観ていません(これはパニック映画?)。幅の広い演技のできる役者で将来楽しみです。

気になったのはイギリスによる圧政の描き方が一方的過ぎること。別にイギリスの方を持つわけではありませんがあそこまでステレオタイプだとかえって滑稽味が出てしまいます。

麦の穂や若き兵士の墓に向け


2007年3月30日金曜日

カフェラグタイムライブ (山中良之+小池純子)

小池さんは昨夜に続き連荘の出演であります。山中さんとは定番のコンビで安心感があります。
今日は桜の満開ライブになりました。

山中良之さんはいつものテナーサックスとは別にソプラノサックスで澄んだ音を楽しませてくれました。外堀の桜も、靖国の桜も、千鳥ヶ淵もみんな咲き誇っている風情を奏でるようです。最後のジョビンの曲には泣かされました。

桜散る心に瘡蓋あるやうに
蛇穴を出て聞いてゐるジョビンの曲

ゴリ寄席 (金原亭馬治 隅田川馬石 )

船橋の歌声喫茶にゴリという店があり月に一回落語ライブをやっています。
今回は金原亭馬治(二つ目)さんと隅田川馬石(真打)さんの二人のライブであります。

演目は 馬治:鰻屋 井戸の茶碗 馬石:妾馬(八五郎出世)

はじめ馬治さんは鰻屋だけで終了のはずだったのですが、馬石さんが遅刻すると思ってもう一席伺ってくれたのです。しかし大ネタの井戸の茶碗をはじめた途端に馬石さんが現れるというというタイミングの悪さで大急ぎの一席となってしまいました。こんなハプニングも楽しいものです。
若いですが噺がしっかりしていて鰻屋の景も見えますし、難しい井戸の茶碗の演じ分けもよかったです。芸が明るいのもよいですねえ。

隅田川馬石師匠は新真打で二つ目時代は五街道佐助さんといった方です。
この名前は由緒正しいもので、初代金原亭馬生がその後十傑といわれた弟子のひとりの名前なまえを考えながら吾妻橋のあたりに来たときに馬を止める石があって、その向こうに隅田川が見えたという由来です。よく聞くとばかばかしい話ですが、昭和の大名人古今亭志ん生も一ヶ月だけ名乗っていた名前らしいです。この馬石さんは四代目になります。

妾馬は殿様のお手がついてお世取りを生んだ妹の縁で遊び人の八五郎がお城に招かれて殿様にお目通りして酒を飲ましてもらうという噺なのですが、馬石さんは実に丁寧にディティールまで演じてくれました。

最近の噺家さんは昔の人に比べると実に上手いです。良く研究していて先輩の録音も豊富にあって恵まれた環境にあります。リアリティは江戸の長屋に住んでいる訳じゃないし、廓にも行かないので昔の人にはかないませんが、それを補って現代の空気をもった新しい古典を発展させていって欲しいものですしきっとできると考えています。いわゆる新作も百年も経てばしっかりと古典になるのです。

強東風や名跡継いだ漢にも

カフェラグタイムライブ (水野雅司+小池純子)

今夜はラグタイムライブの日
水野雅司(Vib)+小池純子(P) 飛び入りで中川喜弘(Tp)でした。
飯田橋界隈はそろそろ桜がいい塩梅になってきて爛漫という感じですが、ヴィブラフォンの音はその春めきをさらに盛り上げてくれます。ラグタイムでは野萩愛さんとか元岡一英さんとの競演が多いのですが小池さんとも良いですねえ。スタンダードナンバーをしっかり春バージョンで聴かせてくれました。

飛び入りの中川さんも時々ラグタイムに出演するトランペット奏者であります。多彩な音色を持つ業師です。息子さんはトロンボーン奏者の中川英二郎さんです。

ヴィブラフォン奏者はあの重い楽器をいつも自前で運ばねばならないので大変です。ピアニストはハナから運べるわけもないので楽譜だけと割り切れるし、管楽器は大変といってもケースを抱えるだけですが、Vibは一回々々分解してそれぞれの部品をまとめて梱包してという作業が発生します。何か重要な部品を忘れてしまうということは無いのでしょうか?
忘れるといえば、その水野さんが、楽譜を見る為にほぼ必須である老眼鏡を忘れて、演奏不能に陥りそうなったとき、店の前に鎮座している黒人人形が掛けている眼鏡を試したらピッタリだったそうです。何が役に立つかわからないものです。

ヴィブラフォン卯月の気持ちぬれてゐる

<水野雅司HP>
http://vib-mizuno.hp.infoseek.co.jp/index.html
<小池純子HP>
http://www2.tbb.t-com.ne.jp/juntum/
<中川喜弘HP>
http://www.nakagawa-music.net/

2007年3月28日水曜日

つくねの店 竹とんぼ

夫婦でやっている小さな店です。新小岩のアーケード街からちょっと外れたところにあります。演歌が流れています。常連のおっちゃん達もいい感じにコテコテです。どこにでもある居酒屋ですが、

看板に書いてあるようにつくねがとてもおいしい店です。

「ツクニスト」を自認する私のなかでも五指に入ります。コストパフォーマンス部門では堂々の1位であることも申し添えさせていただきます。

路地裏のつくねの匂い春の月