櫻桃庵はわが弊屋のことです。小さな庭に植えた苗木がいつの間にか大きくなりました。俳句や本や映画や友達のことなんかをぽつぽつ書く日記です。 2007年から2010年までmixiに引っ越していたため更新できておりませんでしたが、此方も少しずつ書いていきます。

2007年4月28日土曜日

甘味処 「竹むら」 (須田町)

昭和五年創業の老舗 周囲は須田町老舗街といって、洋食「松栄亭」、鮟鱇鍋「いせ源」 鳥鍋「ぼたん」蕎麦の「まつや」、「神田藪」など錚々たる店が軒を並べる一角です。
昔は都電のターミナル駅で、そのせいか交通博物館もすぐ傍にあります。(すでに閉館して大宮に鉄道博物館として再出発するらしいです)
都指定歴史的建築物に指定されている木造はシブイです。なかもきっと変わっていないのだろうなと思わせるやさしい白熱灯の光が控えめにともっています。
一階は椅子席と小座敷で二階は座敷が広そうなので句会には絶好な感じです(要チェック!)

私の定番は粟ぜんざいですが、黒餡しるこも唸ります。当今のあっさりした甘味ではなく古典的な甘さなのですが癖がなく後味が素敵です。最初に出てくる桜湯の清涼な味とかなりおいしい日本茶、紫蘇の実の塩漬けが名脇役です。
注文を聞いてから揚げてくれる揚饅頭も名物で熱々をほおばるのも良いですが、さめてもまたうまいので、「不都合」のあった時お土産にすれば奥さんも恋人も矛先をそらしてくれること請け合いです。
池波正太郎もよく飲んだ後にちょいと寄っていたらしいので、のんべえの方も試す価値はあります。

溜息をつくほどひらく桜漬

住所  東京都千代田区神田須田町1-19
電話 03-3251-2328

映画 「幕末太陽傳」

久しぶりにビデオを引っ張り出して観ました。
もう50年も前の映画です。
世の中は石原慎太郎の小説からブームになった「太陽族」が跋扈していたらしく、フランキー堺が主役であるにもかかわらず、裕次郎、二谷英明、小林明などの当時のイケメンをちょっと出してタイトルに「太陽傳」と冠してしまうというトホホな題名です。
太陽族が無軌道な若者の代名詞でもあった時代ですから、喜劇のタイトルとしては逆にアバンギャルドで反体制だったのかもしれません。

内容はすばらしい。
居残り佐平次、品川心中、お見立て、三枚起請、五人廻しといった廓噺をつなぎ合わせてコミカルでちょっと乾いたシナリオとなっています。川島雄三監督、今村昌平助監督というのは渋いです。

主役のフランキー堺扮する「居残り佐平次」わざと勘定を踏み倒し廓に住み込むことが生業の男。飄々と廓の世界を泳ぎ回っているように見えますが、肺病病みで世間をシニカルな視点で眺めています。高杉晋作役の裕次郎に斬られそうになりながら、「首が飛んでも動いてみせまさァ」といってするっと消えていくラストシーンは戦後のバイタリティと退廃が同居しています。

<脇役陣>
金子信夫、山岡久乃の楼主夫妻は先日観た「さくらん」の石橋蓮次、夏木マリと同じハマリ役ですがやはり上をいっています。
岡田真澄はきれいな若い衆で女郎が生んだ外人の子という設定で、金子信夫の楼主に「おまえなんか陰間茶屋に売っちまうぞ」といわれておびえる風情が本当にリアルです。
南田洋子、左幸子のキャットファイトも「さくらん」の土屋アンナのとび蹴りより迫力あります。
特筆すべきは尊敬する小沢昭一演ずる「貸し本屋の金ちゃん」怪演です。
このビデオを貸した角之進さんによると、途中で出てくる「伸びをする犬」が最大の役者であるとおっしゃっていました。さすが「木を見て森を見ない」と自称されるだけある観察眼です。
わたしは金ちゃんが身投げしそこなって川から掴みあげた猫の冥福を祈りたいところです。

「さくらん」をみてぴんとこなかった方も含め、若い映画ファンにはぜひ見てもらいたい映画です。

カフェラグタイムライブ 「ハチタカ」

ハチタカ その28回目 であります。 小林貴子(vo)+蜂谷真紀(pn,arr,cho)
すごい声量と歌唱力、最近とみに表現力も凄みの出てきた貴子さん、蜂谷さんのJAZZのお弟子さんです。今宵もゴスペル、JAZZでラグタイムの小さな店内を縦横に震撼させました。
ゴスペルは私のような、どの神にも仏にもいい顔してしまう人間にも神様の光を降り注いでくれます。
歌の中で神様の列車が走ってきたりします。聖書には電車は載っていないだろうなとおもいながら飛び乗れるような路面電車であったらよいあと夢想します。

蜂谷さんは昨日までの40℃の発熱で浄化されたといいながら、自重するはずのコーラスもマイクがあると自制できずガンガやっておられました。

藤棚を揺らして路面電車かな