櫻桃庵はわが弊屋のことです。小さな庭に植えた苗木がいつの間にか大きくなりました。俳句や本や映画や友達のことなんかをぽつぽつ書く日記です。 2007年から2010年までmixiに引っ越していたため更新できておりませんでしたが、此方も少しずつ書いていきます。

2007年3月24日土曜日

映画「ヒューマンネイチャー」

今日はDVDで見た映画の話です。

私にいろいろ映画ネタを仕込んでくれるSさんが、疲れたときによいと薦めてくれたものです。

プロデューサーが以前に観た『マルコヴィッチの穴』の監督をしていたスパイク・ジョーンズで脚本も同じチャーリー・カウフマンです。毛深い女と里親にマナー重視で育てられ、「二十日鼠にテーブルマナーを教える研究」をしている博士と父親に類人猿として育てられた男・・・・登場人物の取り合わせだけで俳句的です。よく分らないストーリーで文明にたいする風刺とブラックな性表現が泣かせます。(泣いてません!)
Sさんが疲れたときに観ればという意味は、あんまり寓意を考えずにばかばかしく見なさいということでしょうから深追いはしないことにします。
前述のマルコビッチの穴は賛否両論の映画ですが、私は大好きな「無意味映画」です。興味のある方は合わせてご覧になるとよいのでは。

ふらここや類人猿も揺らしたる              *ふらここ→ブランコ

にっかん飛切落語会

イイノホールで昨夜「にっかん飛切落語会」を聴いてまいりました。
もう310回を数えるということでかなり老舗の落語会ですが、会場となっているイイノホールが近々閉館になるようで今後どうなるのかは協議中とのことであります。
若手好二郎は熱演、小遊三師匠は笑点では見られない粋な芸、名人小三治師匠はトリで時間がなくなった所為か、やや得意のまくらが短かったようですが手馴れた「宿屋の富」を演じてくれました。
新真打となるきくお君は早く真打の名に恥じぬ芸人になってもらいたいものですが、現在はもがいているのではないでしょうか?バライティ性、古典の芸、現代感覚どれも中途半端で自分の進む方向が良く見えていない気がいたします。
出色はなんといっても柳家喬太郎の「ぺたりこん」(三遊亭円丈 作)でした。リストラ対象の男が会社にしがみ付こうとしているうちに、デスク

に手が貼り付いてしまい、会社から備品の一部と看做されてしまう、というシュールな話です。
緊張感を切らさず、現代感覚で落語の不条理性を表現していて感服仕りました。
「天才」が「傑作」に出会うとこうなるのかという見本です。古典派の方には向きませんがお勧めです。

名演もしくじりも好し春霞

2007年3月23日金曜日

カフェラグタイムライブ (章まりこ)

22日ラグタイムは、ヴォーカルの章まりこさんライブでした。アジアの深い神秘性を湛えた美しさと歌声はいつも私を魅了します。ピアノの成田さとしさんの伴奏もユニークで歌声との絡みもさることながらソロ部分での主張も強く「聴かせて」くれます。
昨夜は章さんが始めて作った俳句を披露してくれました。

冬枯れや欅の梢月を射る まりこ

いいじゃあありませんか、とても初めてとは思えません。こうやってまた俳句人口は増殖していきます。

常連のT社長が負けずに、”Dhindi (ジンジ)”を歌っている章さんに向かって「人事はつらいな」と駄洒落を発していたのには、もう7回くらい聞いたことのあるギャグなので一同無視しました。

<章まりこHP>
http://web.mac.com/hawk_eye/iWeb/mariko_sho_on_web/Mariko%20Sho%20on%20Web,Ja.html

2007年3月21日水曜日

春分の日

今日は春分の日であります。
季語にもなっています。
24節気の一つとしての春分と、国民の休日の春分の日を分ける考え方もありますが事実上は同じ日のことをさします。ご存知のように昼と夜の時間がほぼ同じになる日ですし、太陽が真東から上がり、真西に沈むのも今日です。仏教的にはお彼岸の中日です。

決まりの良い日であるという意味からか、俳句でも正午とか時報とか、時刻表といったきっちりしたイメージのテーマの句が多いようです。
見上げゐる春分の日の時刻表 井上康明
春分の時報は島の塔に鳴る 北澤瑞史
正午さす春分の日の花時計 松岡ひでたか

音止みて春分の日の能面師 志ん八

2007年3月20日火曜日

映画 「ヘンダーソン婦人の贈り物」

「ヘンダーソン婦人の贈り物」がギンレイで上映中です。
イギリス映画であります。
第2次世界大戦中に、富豪の未亡人が莫大な遺産で劇場を買ってヌードレビューをはじめる。

・・・と一言で書くと変な映画なのですが、戦争で亡くした息子への惜別や、反戦への思い、体制への反発、人種問題など、劇場を任した支配人とのコミカルなバトルのなかに描かれていて思ったより気に入りました。
舞台の音楽も楽しく劇場にいて一緒にわくわくお嬢さん達のおっぱいを見ているような気がしてきます。
この時代の裸の見せ方は、絵画のエロスと同じならよろしということで、動いちゃいけなかったようですね。日本でもストリップの初期は「額縁ショー」という静止画的見せ方がありましたが似ていますねえ。(もちろん聞いた話でありますが・・・)

またこの筋立ては、ともすると、私のような庶民は富豪物には反感を持たれてしまいがちですが、嫌味がなくその老未亡人がクライマックスでする演説にはホロリとさせられました。
私は元気なお婆ちゃん物には弱いようです。

血の色の透けたる乳房土佐水木 

2007年3月19日月曜日

アケタの店ライブ (蜂谷真紀)

土曜に蜂谷真紀さんの深夜ライブを聴いてまいりました。

ディープと名づけられたこのライブは蜂谷さんがソロで自由に表現する場であり、タイトルどおりかなりディープです。先夜の続木さんとのライブとはまた違った貌であります。

ほとんどがヴォイスのみで、時々上海で買ってきたという風鈴のような楽器を使ったりフィルムケースに米を入れた手製の楽器?を使ってどんどん蜂谷ワールドに入っていきます。

観客もほとんど常連の信者に近い面々でありますが、近くに住むお嬢さん二人組みが迷い込んできたりハプニングがあり楽しい夜となりました。

ところでアケタの店には変な張り紙が貼ってあります。缶詰を”豪華皿”に移し変えます! とか麻薬捜査官が出入りしているのでミュージシャンは気をつけるようにとか、どこまで本気か分りませんが考え込んでしまいます。

春の宵潜むか麻薬捜査官