電車に少し乗ると線路に直角に小さな川が流れています。
桜の時期には両岸が満開になりどこまでも続きます。
その桜も散った先日一人で吟行してきました。
吟行とは、まあ遠足のようなもので違うのはそこで見たものや感じたことを俳句にすることです。
日曜画家がスケッチにいくようなものでしょうか。
ジョギングする人、ウォーキングしている老夫婦、子供達・・のどかな春の風景を見ながらのんびりと川を遡上します。
稚鮎が釣れるようで親子連れが歓声を上げています。
対岸で、一人の老人が1M近くもある鯉を釣上げました。
かなりあばれるのをやっと捕まえたと思ったら、老人はしゃがみこみ釣上げた鯉と話を始めました。
「なあ鯉よ、俺とかわってくれないか」
「人間などという不自由なものにはなりとうない」
「まあ。そうじゃろうな・・」
たぶんこんなやり取りの後に老人は鯉の針をはずしてやって軽く頬を三回たたくと、川のほうへ押しやって帰してやりました。
私は岸のこちら側から聞こえるはずのない拍手を少ししてまた歩き始めました。
鋤洗う女を洗う春の川
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