櫻桃庵はわが弊屋のことです。小さな庭に植えた苗木がいつの間にか大きくなりました。俳句や本や映画や友達のことなんかをぽつぽつ書く日記です。 2007年から2010年までmixiに引っ越していたため更新できておりませんでしたが、此方も少しずつ書いていきます。

2007年5月6日日曜日

映画 「不思議惑星キン・ザ・ザ」

私が、2000年以降に観た映画で最高傑作です。
旧ソ連製作というのでびっくりでしました。
制作年度は1986年 ペレストロイカの翌年です。
1987年リオデジャネイロ国際映画祭・特別賞受賞・・らしい。
監督はグルジア共和国出身のゲオルギー・ダネリアというひとだそうであとの作品は知りません。

なにがそんなに良いか? 
一言で言うと、ぬるくて調和が取れている世界観です。

かみさんに言われて買い物に出た男が空間転移装置で途の惑星「キン・ザ・ザ」へとワープさせられてしまい悪戦苦闘して帰ってくるという話です。飛ばされた世界はいい加減な人々にすむいい加減な世界なのですが、暗いソ連の世界から見るとユートピアに見えます。其処から必死で帰ってこようとする主人公と学生の二人がなんとも滑稽で哀しいです。
ソ連の体制への風刺も体制側に分からないように織り交ぜているように感じますが、当局もよくこのような「国威向上、勤勉精神発揚に役に立たない」作品を許したかよくわかりません。
天国と金持ちをおちょくっているところでうまく手を打ったのかもしれません。
やはりゴルバチョフの功績か??

マッチ棒に非常な価値があるという価値崩壊が小気味よいです。
JAZZを取り混ぜてアメリカ的なものに対する反感と憧れがでているように感じました。
とってもダメダメな、キンザザ星人のふたりのおっさんがとても愛すべき存在で、最後には別れがたい気持ちに(私が)なります。
美術と音楽はレベルが高く低予算での苦労がしのばれますが、スタッフが楽しんでいるツボが随所にあってやっとそんな遊びが出来るようになった人たちの気持ちに思いをいたすと思わず泣けてきます。
(普通は絶対に泣けません)

まったく「ありえねー」映画ですが私の中ではリアリティのある世界です。
一回飛ばされたい世界です。

春愁や砂丘に燐寸箱一つ




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