櫻桃庵はわが弊屋のことです。小さな庭に植えた苗木がいつの間にか大きくなりました。俳句や本や映画や友達のことなんかをぽつぽつ書く日記です。 2007年から2010年までmixiに引っ越していたため更新できておりませんでしたが、此方も少しずつ書いていきます。

2007年6月10日日曜日

映画 「弓」

キム・ギドク 監督の韓国映画です。

海に浮かぶ船の上でふたりきりで暮らす老人と少女。老人は10年前に連れて来たこの少女が17歳の誕生日を迎えた時、彼女と結婚しようと考えていた。ところが、少女が青年と恋に落ちてしまい…ってなことらしいです。

老人役は泉谷しげるに良く似ていてどうせセリフが無いんだから本人を出してみたくなりました。

物語は変態ジジイが幼児誘拐して17歳になったら処女を奪おうとしていたのか、老人自体が海のあやかしなのかよくわかりませんがいわゆる「変な話」です。
海の上で弓占いをする映像が幻想的ですばらしい、少女役のハン・ヨルムはセリフがなくて難しい役だと思いますが良く演じています。
少女性と娼婦のような表情が交錯し、占いを内緒話のように耳元でご宣託するシーンはエロティックです。音楽も劇中で弓を使って奏でる二胡の調べも綺麗です。前作の「サマリヤ」を観たくなりました。

何の脈絡も無くこの子が屈託無くパンツ下げておしっこする所はオヤジ向けのサービスショットでがっがりだし、最後に観念的な破瓜シーンを撮るところもあまり趣味はよくありません。急に神がかりになって無理やり終了というのも私の好みには合いませんがその分割り引いても詩情のある映画として評価しておきましょう。

夏穹や少女は弓となってをり










映画 「あなたになら言える秘密のこと」

監督イザベル・コイシェ 主演サラ・ポーリー
以下ネタばれもあるのでこれから観ようという人は避けたほうが良いかも? です。

このコンビは「死ぬまでにしたい10のこと」のふたり、ちょっと警戒です。前作は貧しいが幸せだと思っていた若い主婦が不治の病で余命数ヶ月と告げられ、子供達にメッセージを残すことに始まり、不倫まで悔いの残れないようにしまくって、自分の後添いの世話までして・・・というような、ちょっとひねった知的な女性にお涙頂戴を仕掛ける悪い映画です。
今回は工場で働くイワクありげな女の人、判で押したように精勤、喰う物もライスと唐揚げと林檎半分だけ。そんな彼女が精勤過ぎて組合から睨まれ長期休暇をとらされて旅に出るというやや無理のアル展開です。彼女がもと看護婦であること、油田で大怪我をした男のために休暇を利用して看護を申し出る。男にもイワクが・・ 人のいない海上油田でのさまざまな出来事で心を開いていく主人公・・・。
彼が秘密を語ったことで、彼女もなぜ自分がすべての感情や官能を捨て去ったかを語る。
ここで旧ユーゴの戦乱のなかで彼女が負った女性として生を閉ざそうとするほどの悲惨な体験。
ここでまた女性観客は泣かされちゃうのか?

とても重い内容を癒しの映像でとても綺麗に撮っているし、一見ハッピーエンドで終わっているのですが、女性の共感方程式の幕の内弁当のような感じを受けた瞬間に、私の頭の中で「トカトントン」という音が聞こえてきて、冷めてしまいました。この感じ方の悪さのほとんどは自分の捻くれとわかってはおります。お許しください。
そんな私でも泣きたいときはストレートに難病純愛物などを選択します。
またその話はいずれ

2007年6月7日木曜日

映画 「恋の門」

羽生生純の漫画を松尾ズスキが初監督で2004年に作った映画です。
今はDVDになっています。
松田龍平が自然にハチャメチャでとてもよい。「松田優作の息子」から自由になっています。あまりマッチョな役も風貌から期待される陰影のある役柄も周囲の期待が大きすぎて気負いが出ていたような気がしますがこれはひょっとしたら地キャラか?と疑うばかりです。

石に描く漫画作家である松田龍平扮する「門」が恋人を賭けて新人賞に挑むという単純なストーリーですが、随所にある漫画的ギャグに実写の疾走感が加わり役者同士のセッションが繰り広げられます。
松田スズキもライバル役を怪演しています。

松田スズキ氏は良くわかんない役者だと思ってましたが良い意味で良くわかんない監督としても注目株です。最近更改された、漱石の小説を基にしたユメ十夜というオムニバスの一つを担当しています。

出色だったのは恋人の母親役の大竹しのぶがメーテルのコスブレで出てくるのですが、私には識別できないくらい跡形もなく化けていて、キャスティングを見ないと分からないところです。これも監督のコダワリか?

2007年6月3日日曜日

映画 「しゃべれどもしゃべれども」

芸術点は問題にしないで落語好き、八千草薫好き、国分太一好きには楽しめる映画でした。
テーマは「教えることを通じた青年の成長」で誠にありきたりです。
暗い女といじめられっ子、リストラオヤジといった生徒のパターンも普通ですが、それなりにうまくまとまっています。原作のちからかもしれません
師匠のコピーは上手だが自分の芸になっていない、いまいち皮の剥けない二つ目噺家を国分太一が好演しています。 こういう好青年はぴったりですねえ。
「火焔太鼓」を太一君が演るのですが、最初の駄目な所からだんだん上手くなってきます。ネタ数さえ絞れば噺家になれそうな気がします。 八千草薫さんの「まんじゅう怖い」もしみじみとした味があります。
ロケ地は、私やラグタイム常連各位には非常になじみのある、市谷の釣堀、神楽坂の毘沙門天、赤城神社、飯田橋の焼トン屋など。

しゃべれどもしゃべれどもまた熱帯夜

BOBY


『1968年6月5日、ロバート・F・ケネディ暗殺。事件16時間前、LAアンバサダー・ホテルには様々な想いの22人の人間たちがいた。世界の運命が変わるとき、彼らは何を見たのか。』これが宣伝用コピーでした、麻薬、人種問題、ベトナム戦争、雇用問題なんかをテンコ盛りにし、当時の世相と人間模様を描いています。

ロバート・F・ケネディという人はアメリカ国民にとって星のような存在だったのでしょうか?彼が大統領になっていたら世界は変わっていたのでしょうか?日本人のさらにノンポリでやや遅れている世代の私にはあまり共感が持てる映画ではありませんでした。

出口のない問題を抱えていた国にとってのカタルシスとして期待されていて、むしろ死んじゃったから映画になるんだろうなあという意地悪な観かたをしてしまいました。

ケネディ家の協力もかなりあった映画らしいですが、そろそろまた大統領候補が・・・・・


確かにキャスティングは一杯集めたなあとおもいます。その点は「有頂天ホテル」を凌駕しています。

アンソニーホプキンスがコンシェルジェ役ですが、「日の名残り」の執事が転職したかのようにシブかったです。

2007年5月20日日曜日

小石川後楽園

私の職場から数分のところに小石川後楽園という庭園があります。旧水戸家の庭園を都が管理しています。あまり広くありませんが中央の池をメインにした回遊式の日本庭園はよく出来ていて、入園料をとる所為か人も少なく快適です。300円を払う価値はあります。

ラグタイム常連のM老師から教わった裏技は涵徳亭という園内にある「集会施設」には入場料を払わなくても入れて窓から庭を眺めながらゆっくりランチが食べられることです。都立ですからリーズナブルなメニューがあるようです。欠点は集会所なので、予約貸切になってしまうと昼の営業がなくなることです。私が訪れた日も残念ながら営業していませんでしたが、写真の茶巾寿司におかずが付いたお弁当を売っていました。600円という驚きの価格だったので、入園料も奮発し池の畔にあるベンチで頂きました。池の鯉にも餌を投げてやりながら寄ってくる雀の仔にご飯粒をあげたりして、なんだか和みのランチを摂ってしまいました。

藤棚では丁度、インターネット句会の兼題の「藤」の取材ができました。
梅、枝垂桜、花菖蒲、睡蓮などの折々の花を当てにして、俳句吟行、スケッチ、写真部とかなり高齢なグループががんばっておりました。
今回は昼休みだけの吟行でしたが、またゆっくりといってみたいところです。

夏めくや鯉の口より起る風

藤の花

4月から5月にかけて咲きます。

先日行った生田民家園の周りの緑地には山藤が裾野を薄紫に染めていました。 よく藤棚にあるのは観賞用です。蔓は必ず右巻きらしく、皆賢いわけです。
風にふわりと揺られる形や、薄紫のみやびな色合いが優しく、晩春、初夏の清々とした空気の中で愛でられます。白藤も奇麗らしいのですが残念ながら私は見たことがありません。季語としては春に分類されています。

腐すとも落つるともなく夜の藤

佇みて藤の色香を浴びてをり

藤の下抱かれる為に通りけり

藤棚の汀に舟を進めけり